NPO法人 緩和ケアサポートグループ(PCSG)
PCSGレター No. 2(2009年3月)
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田3-12-2 伊澤ビル4-D
電話/FAX:03-6318-5184
Email :
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河 理事長からのご報告
緩和ケアサポートグループは、コミュニティケアをはぐくむ「希望の会」の第2回研修会を担当しました。研修会は2月1日(日)に武蔵野公会堂会議室で予定通り開催されました。北風は冷たかったものの、晴天に恵まれ、一般のご参加が35名(定員の30名を超えて)の盛況でした。
プログラムは、第一部が講義:「緩和ケアって何?」のテーマで、中神副理事長と河理事長が担当しました。第二部は「緩和ケア病棟の音楽療法」について当NPO法人会員であり、救世軍清瀬病院・他、多くの施設で活動中の認定音楽療法士 新倉晶子さんが、講義と体験セッションを行ってくださいました。楽器や歌詞集などたくさんの必要品を朝早くから会場に運んでくださった新倉さん、ありがとうございました!
当日受付や会場整備に奮闘された齋藤梓さんが、内容の紹介と感想をまとめてくださいました。
コミュニティーケアをはぐくむ「希望の会」
第2回研修会「緩和ケアって何?」に参加して 日本赤十字看護大学 斎藤 梓
まず始めに、中神先生が緩和ケアについての歴史や考え方について事例を加えながら、分かりやすく講義して下さいました。「緩和ケア」というとやはり、がん患者さんや終末期の患者さんに必要なケアというイメージが強いのですが、キリスト教精神で、巡礼者、病人、貧困者を受け入れケアするという緩和ケアの始まりに立ち戻って考えても、さまざまな疾患によって辛く苦しんでいる患者さんや家族のすべての方々に必要なケアであると改めて感じました。
次に河先生が日本の緩和ケアの状況について、医療施設を中心に説明して下さいました。緩和ケアが受けられる病棟や緩和ケアチームが年々増えてきており、患者さんや家族の方の緩和ケアに対するイメージも苦痛を和らげ、その人らしく過ごせるところと少しずつ理解されつつあるようです。しかし、まだまだ緩和ケアを受けられる場所は少なく、費用がかかるという現状もあり、ケアを受けている患者さんは、ほんの一握りだということを改めて知ることができました。また、今後は病院や施設だけでなく、自宅で過ごしながら緩和ケアが受けられることが求められており、少しずつ取り組まれてきている現状を紹介して下さいました。自宅で過ごしたいと希望される患者さんや医療施設に長期入院することができない現在の状況において、地域で緩和ケアを受けられることは今後ますます求められるのだと思います。
最後に新倉先生が音楽療法についての講義とともに、ホスピスで実践されている音楽療法を一部紹介して下さいました。私は、今までにホスピスや緩和ケア病棟で行われている音楽療法に触れる機会がなく、何となく穏やかな空気が流れているのだろうとイメージしておりました。しかし、実際に新倉先生の音楽療法を体験させていただくと、とても感情が揺れ、いろんな思いが想起され思わず涙がこぼれおちました。忘れていた様な奥深くの感情に新倉先生の音楽が届いたような気持ちになりました。新倉先生もおっしゃっていましたが、歌い方や声によって、またその人の状況によって感じ方が違うため、その人その人にとっての音楽療法があるのだと実感いたしました。言葉とは違う音楽の圧倒的なパワーによって、癒されることや感情の整理の一端となることが多いと思います。しかし、想起された感情が良い感情ばかりでなく辛く悲しい感情である場合も予想され、音楽療法の後の時間がまた大切なのではないかと思いました。中神先生が講義の中で話されていた、緩和ケアの枠組みの土台として「ありのままを認め受け入れる」こと、そしてチームワークが大切であることについて、音楽療法の体験により、自身の感情を通して、ほんの一端ですが理解を深めることができたと思います。先生方の貴重な講義とともに緩和ケアにおける音楽療法を体験させていただき、緩和ケアを身近に感じ、地域で支えることの大切さを改めて考めて考えることができました。
参加者の声
参加してくださいました方々から貴重なご意見・感想をいただきました。
「非常に悩んでいる時に良いお話を伺うことができました。音楽療法の実技の際には、がんを患っている母を思い、涙がでてきて仕方ありませんでした。」
「参加させてもらいとても良かったです。緩和ケアサポートがこのようになっているとは初めて知りました。音楽療法に出会ってこれまた感激。」等々・・・・、
この他、当日アンケートにもご協力いただいております。ご協力ありがとうございました。
会員の声
PCSGは、会員の皆様のお力添えのおかげで、一歩ずつ前を進むことができております。PCSGの活動のキーワードは「つながり」です。顔を合わせて、膝をつきあわせて、会員間で話あう場をもつことは難しい現状ですが、お互いが知り合うきっかけとして、このレターがその役割を少しでも担えればという思いで「会員の声」コーナーを設けました。第一回目は、理事である稲見富子さんにお願いしました。ありがとうございます!!
会員の声 「緩和ケアグループと私」 理事 稲見 富子
手元に置いたファイルに綴じられている緩和ケアサポートグループ関係のレターや書類を見つつ、去年の今頃は「NPO法人」設立に向けてまだ準備段階だったことを思い出しております。昨年の夏、「NPO法人緩和ケアサポートグループ」が設立され、この3月末に初年度の終わりを迎え、時の早さを実感しております。
NPO法人の認可取得に向けて細かい手続きなど、河さんはよく「まったく初めてのことなので」と話されていましたが、手探りの状態から副代表と共に各種提出書類を作成され、都庁に足を運び、その他諸々の事務手続きを経て東京都の認可を得たのが去年の夏—8月4日のことでした。
私はその間折々に他のメンバーの方々にお会いして、ただ経過報告を伺っておりました。その後については会員に配布された「ニューズレター」の1号に掲載されている通りで活動を開始しております。現在、賛同してくださる会員の方たちも増えております。
こんな私がこのNPO緩和ケアサポートグループに設立当初から参加させていただけるのは、河さんとの幼い頃からの大切な「つながり」 によるものであり、家族の看取りを経験したことによるものであります。私の家族に病人が出て看取ることになった時に、河さんには途方にくれていた私のよき相談相手となっていただきました。
病気や治療について適切な情報と助言を与えていただき、本当に色々とお世話になったのです。彼女の支えがなければ私は難しい情況の中でどうしたらよいか判断に迷うことがたくさんありました。同じような経験をされた人たちと話す機会がありましたが、私は河さんというこれ以上ないよき相談相手がいて下さりとても恵まれていたと思います。「緩和ケア」 についても知ることができ、入院先で関わってくださった病院関係の方々も皆親切ないい方々でした。それでも、私は家族として本当に病む人の想いを受けとめることができたのだろうか。私は何もしてあげられず何もできなかったという悔いと無力感を抱えております。
そんな私ですが、緩和ケアサポートグループの目指す活動が広がり定着していくことを願い参加させていただくことにしました。最近の新聞記事(2月16付「日経」)によれば、2007年6月に「がん対策推進基本計画」が閣議決定されて「緩和ケア」 の充実を重点課題の一つに掲げているが、2008年実施された慶大の患者調査によると治療で完全に痛みがとれたのは約1割にとどまることがわかり医療の現場で緩和ケアの提供が進んでいない実態が述べられていました。誰でも病に倒れた時、難しい病気に直面した時に、納得のいく緩和ケアも含めた治療と手厚いケア、看護を受けることができるように、また病み苦しんでいる人を支える人たちにとってもこの会の果たす役割はとても大きいものと思います。様々な人たちとのつながり、それを通して着実にこの活動が広がり発展していくことを願っております。
編集後記
もうすぐ4月。ようやく第2号をお届けすることができ、ほっとしています。レターを通して皆様と出会える喜びを感じつつ、来年度は、希望の会の活動に加え、PCSG独自の活動についても、もりだくさんにお伝えできればと夢みて??います。今後ともよろしくお願いいたします。(くさ)